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個々の素材がその個性を主張

2011.11.12

普通、これだけ多くの種類の素材を使うと、どうしてもちぐはぐになりがちだが、ここでは、個々の素材がその個性を主張しながら、結果的に落ち着きのある不思議な余韻を残した。それは本来の「わび茶」の精神とどこかで通じ合っていて、現代の「わび」といいたくなる。「わび」とは何か。数江教一の「わび」(塙新書、一九七三年)によれば、「わび」とは、もともと、何か不幸なことが起きて悲嘆した時の、人々のはかない気持ちや暮らしのことだという。

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特に室町末期は、戦乱だけでなく既成の価値や権威も失墜し、人々は深い絶望の淵に追い込まれ、そうした悲嘆とはかなさのうちにも、どこかに安住を求めようとする気持ちが「わび」の精神を生んだ。日本人は世のはかなさをむしろ風流にまで高めて、それを「わび」という独自の美意識に仕立てたわけである。震災も、阪神・淡路の人にとっては激動の事件であった。それはまさに悲嘆とはかなさだが、そこに現代の「わび」が生まれる可能性も出てくるのである。一見、破天荒に思える茶室には、そうした願いも込められているように見えた。