通気を考えた改築を考えてみよう。こんな例がある。住改善委員会の事務局に相談があった。とにかく急ぐというので、飛んで行った。聞くと、使いにくい住みにくい家なので、奥さんとしてはすっかり壊して建て替えたいという希望だ。ところがご主人は、材料も昔の桧を使っていて、四、五十年たっていてもびくともしないと、大反対。この対立は相当根が深く、結婚当初から二十年以上もたつ長期戦だという。結局、北側の使われていない納戸のような部屋を取り去り、そこを中庭とし、他の五つの部屋への風通しと採光をとった。
[参考]
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すると、どうだろう。今まで南の三部屋しか使われていなかったのに、北西の一番条件の悪い部屋も中庭を見る最高の書斎となり、娘と父親の奪い合いとなった。建て替えはおろか、増築もしない「減築」で一件落着!建築家は夫婦喧嘩の仲裁もするのだ。住まいの改造は、人間でいえば手術のようなもの、その前に適切な診断が大切といえるわけだ。この例に限らず、改築をとことん考えて行くと、果たして改築の方が得なのか、あるいは思い切っていま建て替えた方が得なのか、迷うことがある。改築を考えることは、即ち生活を考えることである。当然、将来のことも計算にいれる。たとえば、いま別居している息子夫婦が将来どう動くであろうか、あるいは、小さな息子や娘が将来同居するのだろうか、もっとシリアスに、元気な夫がいつまで働いてくれるのだろうか、など。