震災の映像のなかで、何といっても私たちの記憶に残ったのは阪神高速道路の崩壊ではなかっただろうか。“Tバー”といわれる一本足で支えられたあの高速道路の橋げたが、ものの見事に五〇〇メートルに渡って片側に倒れたのである。車が宙に舞い、国道43号線を走っていた乗用車も下敷きになった。地震が起きた時刻が早朝だから、あの程度の事故で救われたといえる。あと二時間遅くて朝のラッシュ時間帯であったらどうなっていたか。渋滞中の高速道路では約一〇メートル間隔に車両が連なるだろう。つまり五〇〇メートルではその問に五〇台。これが片側二車線の道路では、往復方向で四倍の二〇〇台。クルマ一台平均に一五人の人が乗っているとして三〇〇人が、あの現場の高速道路の崩壊だけで死亡したと計算できるのである。さらにつけ加えれば。高架が倒れてその下敷きになった人数を想定すれば、この倍以上の人が災害に遭遇しただろうと思われる。あれほど被害がでた現場でも、私たちから見るとまだ救われた方ではなかったかと思えるのだ。何しろ高架の道路が左右どちらに倒れるにしろ、倒れるだけのスペースが十分にあったからなのである。つまり高架下が片側が四車線、両方で八車線の広い道路だったからだ。それが少なくとも、災害を最小限に食い止めることができたともいえるのである。
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